2015年2月21日土曜日

私とフォント「Baskerville」

今回はBaskervilleのご紹介。


Baskerville書体見本


BaskervilleはTransitional(トランジショナル)と呼ばれる書体群の代表的書体。1754年頃よりイギリスの印刷業者John Baskerville(ジョン・バスカヴィル)によってデザインされ,1757年にその金属活字が完成しました。1758年にCambridge大学の出版を請け負うようになり,その後も(彼自身は無神論者であったが)聖書を印刷するなどし,広まりました。彼のタイプデザインは国内の同業者からは不評を帯びましたが,他国の同業者からは賞賛を受けました。その後1920年代に Linotype 社や Monotype社をはじめとした多くのタイプファウンダリによって復刻されました。

Baskervilleの特徴


大文字のCとQや小文字のgが特徴的な書体。数あるBaskerville書体の中でもStorm Type Foundry から販売されている「Baskerville Original」のQが一番のお気に入りです。テールの折り返しがくりっとしているところが最高に美しいと思います。(「フォントなんてどれも一緒だ」みたいなことを私はよく言いますがこういうところは見てほしかったりw)
(なお,大文字のWは真ん中にアクセントのないものが一般的ですが,WikipediaのBaskervilleのページ(英語)のギャラリーを見るに元々の活字はGaramondをはじめとしたOld Styleと同じようにアクセントがあった模様。復刻の過程で取られた?)

さて,そんなBaskervilleですが,日本での人気はいまいち! 書体の解説記事も全然見当たりませんしね。これは何もBaskervilleに限ったことではなくTransitional全体にいえる話です。Transitional(過渡的な)というだけあって,やはりより特徴がはっきり見て取れるOld StyleやModern Styleに使用率では押されがちになっちゃうわけです。
なので,こんな時はBaskervilleがいいんだよ!って使用例を紹介したいと思います。

「極黒のブリュンヒルデ」オリジナル・サウンドトラック表紙

さて,これはアニメ「極黒のブリュンヒルデ」のオリジナル・サウンドトラック の表紙ですが,ここで使われているフォントは「Didot」だと思います。(たぶん)

これはこれでいいんですけど,ちょっと線が細すぎてタイトルが絵に溶け込みすぎちゃってるような気がします。こういう「書体をある程度強調しなければならない時」にBaskervilleはうってつけだと思います。

Baskervilleバージョン


いかがでしょうか? 参考までにRoman体との参考画像も用意しました。

OriginalとBaskervilleの比較

Sabon NextとBaskervilleの比較


次の画像は映画「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」の劇中劇「眠り姫 THE SLEEPING BE@UTY」のタイトルロゴを改変したものです。

Sabon Next(左)とBaskerville(右)の比較

いかがでしょうか? 好みの問題ではあるのですが,黒塗り背景に白文字のみで使用する場合はTransitionalよりもRomanの方が本題に静かに寄り添っていると思います。
ただし,文字だけでなく絵もロゴに加える(例えば桜の木を後ろに加えるなど)などの場合は書体をもう少し強調しなければ溶け込みすぎてしまうため,Baskervilleが良いかもしれません。使途によってうまく使い分けてくださればと思います。

せっかく改変ロゴを作ったので使い勝手が良い背景透明バージョンを置いておきます。使用したい方は非商用に限りご自由に(Sabon NextバージョンBaskervilleバージョン)。


Baskervilleの紹介は以上となります。
サンプルが少なすぎたかもしれませんが,これを機会にTransitional書体を使う機会が増えたら幸いです。

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