1.Garamondご存知ですか?
Garamond(ギャラモン,ガラモン,ガラモンドとも)は16世紀にフランス人の活字鋳造業者,クロード・ギャラモン (Claude Garamond) が製造した活字を基に製作された書体です。
実はGaramond には大きく分けて2つの種類があります。ひとつはギャラモンの活字を基にした「ギャラモン系」,もうひとつはジャン・ジャノン (Jean Jannon) の活字を基にした「ジャノン系」です。今回紹介する「Adobe Garamond」は,「ギャラモン系」にあたります。
Adobe Garamond Regular 書体見本 |
また「ギャラモン系」と言っても,ギャラモンはイタリック体を作っていないため,Garamondのイタリック体はロベール・グランジョン (Robert Granjon)の作成した書体が参照されることが多く,Adobe Garamondもそれを基にした書体が使われています。
Adobe Garamond Italic 書体見本 |
Garamondは非常に人気の高い書体で,Adobe Garamondは1989年にアメリカのAdobe社から販売された書体ですが,この他にもMonotype Imaging 社から販売された「Garamond(ジャノン系)」,ITC (International Typeface Corporation)から販売された 「ITC Garamond(ジャノン系)」,Stempel社から販売された「Stempel Garamond(ギャラモン系)」など,まだまだ多くのGaramondがあります。
色々なGaramondについて知りたい方は朗文堂さんのホームページなどをご覧くださると勉強になると思います。
2.Adobe Garamondの特徴
Adobe Garamondの特徴 |
この書体の特徴的な部分だと思う文字を赤く塗ってみました。
実はこの特徴的だと思う文字が他の書体よりこの書体がお気に入りな理由だったりします。特にちょっと傾いた感じの数字はすごくかっこいいと思います。
そのほかの特徴としては
1.セリフ書体
文字の始点・終点などに「セリフ」と呼ばれる髭のようなものがついている書体です。
2.オールド・ローマン体
15世紀後半~18世紀中頃ぐらいまで主流だった書体です。
などが挙げられます。
3.Adobe Garamondの使いどころ
本文
Adobe Garamondはタイトルに使うのも良いですが,本文に使っても良い感じです。
Adobe Garamond 本文使用サンプル |
和欧混植
Adobe Garamondは日本語の組版とも相性が良く,日本語の中の数字や欧文の箇所にこの書体を使用してもすっきりと収まってくれます。
Adobe Garamond 和欧混植サンプル |
ちなみに,游明朝体MにはAdobe Caslonが個人的には相性良いと思います。
4.和欧混植時の注意
基本的に和文と欧文とでは日本語のほうが文字が大きいため,そのまま使うと日本語に対して欧文が小さく見え,不自然な印象を受けてしまいます。
そのため,和欧混植をするときは欧文の文字サイズを大きくするとともに,ベースラインを調整する必要があります。
例えば私の場合,以下のような調整をしています。
【Indesign】
游明朝Pr6n R:デフォルト
Adobe Garamond R:倍率105%,ベースライン2%上げ
游明朝 M:デフォルト
Adobe Garamond R:倍率105%,ベースライン2%上げ
Adobe Caslon R:倍率105%,ベースライン1%上げ
【MS Office Word】
游明朝Pr6n R:デフォルト
Adobe Garamond R:倍率105%,ベースライン0.25pt上げ
游明朝 M:デフォルト
Adobe Garamond R:倍率105%,ベースライン0.25pt上げ
Adobe Caslon R:倍率105%,ベースライン標準
上にあげた設定はあくまでも一例で,これがベストというものではありません。
自分に合った設定を見つけてみてください。
5.終わりに
今回はAdobe Garamondを紹介させていただきましたが,世の中にはまだまだたくさんの書体であふれています。
そしてそれぞれに特徴があり,魅力があります。
ですので“私はこれが好き!”っていうフォントを見つけ,実際に使ってみてください。
きっと貴方の作品をより良いものにしてくれるはずです。
だって,そんな目立たないところまで貴方がこだわって仕上げた作品なのですから。
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